KEMARI BOYS

サッカー from 徳島県吉野川市

マッチレビュー ユーロ2020

「マンチーニもポジショナル」EURO2020 グループA 第1節 トルコ対イタリア マッチレビュー

投稿日:

元記事はこちら。

https://note.com/moritakuro/n/n68108e6e5dbe


スタメンはこちら。

画像1
  1. まずは3-2-5で様子見
  2. 別の配置も用意してるよ!なマンチーニ
  3. カギはバレッラの位置取り。3-2-1-4で勝負に出る

まずは3-2-5で様子見

両チームの間には力の差もあり、序盤からイタリアがボールを持つ展開に。開始1分と経たないうちにビルドアップが始まる。

左SBのスピナッツォーラが高い位置を取り、右SBのフロレンツィがハーフスペースに絞って3バック化。そして中盤は初期配置では3センターだが、バレッラを押し上げて残ったジョルジーニョとロカテッリが2CHを形成。

画像2

トルコのプレッシングの原則としては、CBに強く出ていかないというものがあった気がする。CFのユルマズはジョルジーニョを背中で消しつつ、もう一人のCHロカテッリは右IHヤズジュが監視。
よって、キエッリーニの前方には大きなスペースが空いており、運びたい放題であった。ビルドアップの出口として設定されていたのは左SBのスピナッツォーラ。
右利きの彼は内側に向いてプレー可能なので、そういう意味で組み立ての出口として高い位置に配置されていたのかもしれない。

また、イタリアの恐ろしいところはCBのミドルパスの正確さ。サイドに展開すると見せかけて、27分のように中央への縦パスを刺すシーンが何度か見られた。

画像3

3-2-5での崩しは基本的にスピナッツォーラの縦突破からのクロス。内側に切れ込んでコンビネーションなど、他の選択肢を匂わせずに男気で突破していく。スピナッツォーラはこの形ばっかりだったけど、クロスをインターセプトされることはほとんどなかった。彼とマッチアップするWGのカラマンがクロス対応を苦手としているのかもしれない。

ただ、このシンプルな突破からのクロスを繰り返していても得点の気配はせず。シュートで終われないことも多々あり、11分にはスピナッツォーラの裏に放り込まれて大外から若干危険なカウンターをくらう。

別の配置も用意してるよ!なマンチーニ

前進はうまくいくけれど、崩しがスピナッツォーラのクロス頼りで点が入りそうにない!カウンターもくらい始めた!ということで、イタリアは16分に早くも戦術変更。別の形でビルドアップを始める。

画像4

両SBを広げて、2CB+2CHの4人でビルドアップしていくベーシックな形にシフトチェンジした。3-2-5の時と同じようにスピナッツォーラが出口の時もあったが、右サイドにいる面々を使っての前進も面白かった。

画像5

23分に起こった連動が上の図。
①フロレンツィがフロレンツィがベラルディに縦パスを当てると同時にバレッラがパラレラ(タッチラインに平行に走る動き)を実行。
②フロレンツィはバレッラが空けたスペースに走り込み、ボールを受ける。

このシーンは惜しくも奪われるが、この3人組でのパスワークはデザインされていた感じがあり、見ていて楽しかった。28分にはバレッラがハーフスペース裏を取ってクロスなどそれまでとは違った崩しを見せたが、得点は奪えず。

トルコのボール保持は、基本的にCFユルマズへのロングボールを放り込み。だがイタリアのCBが空中戦で自由を与えず、遅攻ではチャンスを作ることができなかった。そもそもロングキックの精度が高くなかったトルコのビルドアップ隊。見ていて少し切なかった。

試合はスコアレスのまま後半へ。

カギはバレッラの位置取り。3-2-1-4で勝負に出る

後半に入る前に両チーム交代があった。トルコはヤズジュに代えてジェンギズ・ウンデル。大外カウンターでゴールまで完結させるべく、この俊足のWGを入れたのだろう。


対するイタリアは右SBのフロレンツィに代えてディ・ロレンツォを投入。
意外な交代だったが、その理由は論理的だった。ボール保持の局面で3バックと4バックの形を使い分ける上で、大外レーン専門のフロレンツィを起用するよりも、右CBと右SBの両方をこなせるディ・ロレンツォを起用した方が、前半で採用した2つの形でのビルドアップが両方とも捗るからだろう。

そして、後半に入ってからは【3-2-1-4】の「1」であるバレッラが活躍し始める。前半からトルコのブロックの間に立てていたため、後半からはそこを使おう!という指示が出たのかもしれない。

画像6

実際、先制点はロカテッリからのパスを間受けしたバレッラが起点になっている。71分にもライン間で受けて前を向けており、後半はバレッラがキーマンになっていたと言っても過言ではないだろう。

65分にトルコが【4-3-3】に変更するも、1分後の66分にスピナッツォーラのシュートのこぼれ球に詰めたインモービレが押し込んで0-2に。【4-3-3】に変更した理由を知る前に点差が開き、トルコの狙いが分からないままほとんど勝負がついてしまった。

前半からボールを握られて身体的に負荷がかかり続けたトルコはカウンターを打てる回数が減り、後半から入ったウンデルが仕掛ける場面も覚えている限り1回しかなかった。
ビルドアップ時にはロングボールをある程度封印し、CBがぺナ幅まで広がりSBがタッチライン際まで開いてショートパスをつなごうとするも、CBとGKのロブパスの精度が低くイタリアのプレッシングの網にかかりまくっていた。
そして79分、トルコのGKのパスをカットしてショートカウンター発動。仕上げにインシーニェがゴールを決めて勝負あり。

イタリアのポジショナルな配置変換も興味深かったが、トルコが攻守において90分間活路を見いだせなかったのも点差が開いた原因だろう。

なんにせよ、マンチーニ監督が代表レベルでここまで戦術を落とし込めていることに驚いた。イタリアを追いかけるのもありだな、と思ったユーロ2020開幕戦でした。

-マッチレビュー, ユーロ2020
-,

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA


関連記事