FIFAからオフサイドのルール改正を検討していることが発表された。7月から導入予定らしい。
従来のオフサイドルールとは真逆で、
「攻撃側選手の得点可能な体の部位のどこかが、守備側の後方から2人目の選手のラインを超えていないならオフサイドではない」
という風な改正だ。文字にするとややこしい。
詳しくは下記を参照してほしい。
従来のルールならば、裏に抜け出している緑(攻撃側)の選手はオフサイドだ。
しかし新ルールでは、白(守備側)の選手の立つラインと抜け出す緑の選手の右足(得点可能な部位)が重なっているので、オンサイドになる。
ルール改正後はオフサイドの回数がかなり減るだろう。
そして、攻撃側がDFラインの裏を狙う回数は増加するはずだ。
ぶっちゃけこのルール改正によって攻撃側に有利になったと言ってもいい。実際、得点シーンを増やすための新ルール導入だとFIFAも認めている。
今回は、このルール改正で他に起こりそうな事象を予測してみることとする。
オフサイドトラップの「死語化」が促進される
以前に岩政大樹さんが、「オフサイドトラップは死語」とDAZNの番組で話していた。
上図では、スルーパスが出そうなタイミングで、守備側の青がDFラインを上げて、攻撃側の赤色Aをオフサイドポジションに置き去りにすることに成功。しかし、元々オンサイドの位置にいた赤色のB選手に、青チームがDFラインを上げているタイミングに合わせて抜け出されると大ピンチになってしまう。
こういった事象が起こる可能性があるので、オフサイドトラップはもう古い!ということだった。
うろ覚えだけど、こんな感じの理由だったはず…。違っていれば指摘してください。
本題に戻る。今回のルール改正によって、攻撃側の選手が敵DFラインの裏に抜け出す際、オフサイドになる可能性は少し下がったので、守備側の選手はDFラインを上げるよりも裏抜けに付いて行くことを優先するシーンが増えるだろう。
つまり、オフサイドトラップを仕掛けるシーンは今よりもさらに減るのではないか?という推測でした。
足の速いCBが重宝される
先ほどの「オフサイドトラップがさらに減る」説につながる予測。攻撃側の裏抜けに付いて行くということは、センターバックの足が速くないとやばい!という単純な推測。
また、「オフサイドルールの改正によって裏抜けを警戒し、DFラインをもっと低めに設定するようになる」という意見を見聞きしたが、個人的にはその可能性は小さいのでは?と思っている。
GKの守備範囲が広くなる
裏抜けの回数が増えるであろうルール改正後の世界では、守備側のGKの高い位置取りとスルーパスへの対応がもっと重要になるはず。ゴールから離れて、以前よりもやや高いところに位置するキーパーが増えそうだ。
これをゴールキーパーの「ノイアー化」とでも名付けておこう。
裏抜け・ライン間侵入が上手い選手が重宝される
裏抜けが上手い選手が重宝される、の理由については単純なので割愛。
前述した「DFが裏抜けに付いて行く可能性が高まる説」に則ると、裏抜けのタイミングで守備側のDFーMF間に小さいながらもスペースが生まれやすくなるかもしれない。よって、そのスペースに侵入してボールを受けられる選手が重要になってくるのでは?という推測。
流行りのインベーダー(侵入者)タイプのMFが活躍する時代が来るのではなかろうか。
おわりに
ここまで、オフサイドルール改正によって起こりうる事象を予測したが、正直言ってあんまり変化はしないだろう。今回推測したことも、確実に起こるかどうかと言えば、分からない。もし起こったとしても、新ルールに慣れれば新たな駆け引きが生まれるだろう。
また、シン・オフサイドルールになると副審の難易度が爆上がりする。おそらくVARありきでのルール改正、という意思決定なのだろう。慣れないうちは、VARがないカテゴリーでは現場で混乱が起きそうだ。
そして、ヨーロッパでは20-21シーズンに旧ルール、21-22シーズンに新ルールとなるが、日本では違う。がっつりシーズン中にルールが変わるので、「次の試合からはオフサイドルールは新しいのに変更ね」となるタイミングがあるはずだ。新ルールに対応するための準備期間が非常に短い。
欧州ではプレシーズン中にみっちり準備できるというのに。カレンダーが違うだけでこんなにも切ないとは…。
というわけで、今回はオフサイドルール改正について考察しました~。
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